"就活生"になった7月【自己満・就活総括④】
第4回目をお届けします。
今回もあくまで個人の感想です。受け流してください。
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大本命だったS社はあと一歩のところで散った。その後3日くらいは家族の誰とも顔を合わせたくなくて、避け続けた。詳しくは下のリンクへ。
そんなこんなで7月がやってくる。スーツのジャケットを羽織るには暑すぎる。ワイシャツの袖を捲らなければやっていられない。季節はとっくに夏だった。
残りは3社。スケジュール帳は空欄だらけだ。でも人と会いたくなくて、自分からは予定を入れないようにしていた。
この時点での持ち駒は
某新聞社のグループ出版社A、
女性誌が武器の総合出版社KB、
絵本出版社の老舗D社。
正直、崖っぷちである。
倍率的には落ちても仕方がないと思っていたから、いっそ開き直ることにした。ここまで来たら落ちたら落ちただ。その時になってから考えればいい。幸い売り手市場だった今年の就活戦線では夏採用や秋採用を多くの企業が実施していた。いざとなればそれに縋ればいい。
僕の内側に律儀に座り続けている慢心と黒い感情の塊が僕を見つめる。
慢心はあの失敗によって怯んだのか、前よりも姿が小さく見えた。
就活が終わっているのに何かを悔やんでいる友人、心の中で見下していたのに出版社に就職を決めたアイツ、就活が終わって調子に乗っている先輩、6月のインターン解禁から意識を高めつつある一個下の後輩。
全てが煩わしかった。誰が悪いわけでもない。みんながみんな大変で、苦しいのだ。それでも自分の不幸さばかりが肥大していって他人の気持ちなんて推し量る余裕なんて、なかった。
ある程度選考段階が進んでいたとしても、それを自慢するなんて醜いし、虚しいだけだ。
誤解を恐れずに言えば、他人は己の過程に興味はない。「過程も大切」というのは「自分自身の糧として大切」ということであって、「過程も大切、だから他人に見せびらかす」というのは間違っている、と思う。
特に「過程」にいる最中はその現状を実況中継するのはいささかカッコ悪い。でも、就活生は不安定な生き物だからどうしても自分の頑張りをアピールしたくなってしまう。企業に認めてもらえないときは特に、誰かに認めてもらいたくなるものだ。しょうがない。こればっかりは。みんなそう。
とにかく、そんな承認欲求と戦いつつ丁寧に面接を受けていった。その会社が出している雑誌は自分なりに読み込んだし、企画もきちんと出せるように準備をした。慢心はそこになかった。僕はそこでようやく"就活生"になったのかもしれなかった。
7月も1週間を過ぎた頃、A社の二次選考に落ち、また一歩就職留年に近づくこととなった。
そんなある火曜日、D社の二次面接を受けた。
面接は1時間に及んだ。できるだけ正直に、素直に、頭を使って受け答えをした。面接というよりも、"会話"に近いものだったように思う。最終面接に進める手応えを確かに感じていた。
その帰り道、KB社の最終面接の案内がメールで届く。ガラガラに空いた午後の電車内で小さくガッツポーズをする。目の前に座るおばさんが微笑んだ(気がした)。
さあ残り2つ、どちらかでも内定が欲しい。もとより第一志望群の企業しかエントリーしていなかったから正直どちらでも採用してくれれば御の字だった。
S社の最終面接を思い出して胃が痛くなる。蒸気みたいなため息が胸あたりに溜まって、徐々に気管支をせり上がっていくようだ。気持ちが悪い。落ち着かない。吐き気が治らない。
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こんなに長いシリーズになるとは思わなんだ。
多分!次回!最終回!「イノウエ、死す」
デュエル、スタンバイ!
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