楽しそうな方に歩こう【イノウエ旅行記四日目】
歩く。歩く。まっすぐに続く道を、ただひたすらに歩く。
旭川駅に降りたった俺は悩んでいた。駅前のロータリーに座りこんで地図を広げる。
富良野のゲストハウスを予約し、18:00の送迎車を予約してしまったから16:30にはまた旭川駅を出なければならない。
旭川で自由な時間はおよそ3時間。何ができるだろう。周辺の観光地は行くだけでも1時間半はかかる。往復で見ればその場所にほとんど滞在できないことに気づく。
富良野線は1時間に一本しかない電車だったから移動タイミングも限られてくる。
散々迷って出した答えは「楽しそうな方に歩こう」ということだった。
顔を上げると、広い空の左側は重たい灰色の雲に覆われていたが、右側は太陽が元気に主張し、青空が広がっていた。
いやもう、晴れてる方に歩くしかないでしょと決意し立ち上がる。
歩いた。大きな川を越えた。自然公園や神社に寄り道して、単線の線路を沿って歩いた。
昼間の太陽が夕陽に変わりつつある。そのオレンジがかった日差しで、稲のそよぐ田んぼは金色に染められている。
俺は永遠に続くように思えた一本道を一歩一歩噛みしめるように歩く。
陽が落ち始める頃、俺はJR富良野線の西瑞穂駅に到着した。しばらくして電車もやってきた。富良野に向かう。
富良野のゲストハウスに着き、書類に名前を書いていると同世代の男に話しかけられた。同じ部屋の宿泊者だ。
「明日、何かご予定はありますか?」
「…明日は、特にないです」
何が始まるのだろう。
続きは明日のお楽しみに。
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