八月の残滓

ごちそうさまの後に残った米粒をかき集めるみたいに、八月の残滓を探す。まだ終わったことが信じられなくて、残り香をかぐ。

立ち止まって考えたいのに否応なく走らされているようだ。永遠の八月を望んだのに、それは涼宮ハルヒの世界に飛びこまなければ望めないらしい。

さっき八月末締め切りの課題を先生に提出して、「夏休みの宿題」を終えた。また一つ、僕の八月が消える。
これで22回分の八月を消費したことになる。

トイレに座ってぼんやりとする。彼はどこにいっちゃったんだろう。そこで僕は気づく。彼?八月は多分、男なのだ。
過ぎ去った八月の日々はどこに消えてしまうのだろう。何に変わっていくのだろう。思い出という栄養になって全身を巡ってくれれば、いい。それが何にも薄まらないで、溶けてなくならなければもっといい。

目線を上げる。
八月の残滓を見つけた。

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