今やろうと思ったのに、君はもう寝てしまって。
ぷつりと2弦が切れて、俺のやる気も切れる。今やろうと思ったのに、と小学生が親に宿題を促された時のような感情を抱いてギターを置く。
スマホの充電が2%だ。動画サイトを開く。しばらくそれを眺める。充電が切れる。今やろうと思ったのに、と拗ねてスマホをベッドに放り投げる。
課題の続きをしようとパソコンを開く。Windowsのアップデートがうんたらかんたらと表示されて、有無を言わさずそれに従わさせられる。再起動。数十分。今やろうと思ったのに。
いつだってなんでもできる気がした。それでも、色んな言い訳があった。
変換キーを押せば押すだけ誰にも伝わらない奇怪な文章ができる、そんな当たり前のことを当たり前のように意味深に書いて”間違い”を変換キーのせいにする。生きていく上での誤字は全部、ぜーんぶ変換キーの押し間違えだ。そんな風に言い訳を重ねる。
何を言ってるのかわからない?俺も俺も。よくわからない。だって頭に浮かんだ言葉を打ち込んでるだけだもん。そもそも今何時か知ってる?午前4:25。まともな思考できる時間じゃないじゃん。君はきっと今、寝ているよ。今、やろうと思ったのにね。そうやってまた言い訳を重ねていく。
「偏官χを捺せば御酢だけダレニモつたわらない棋界な文祥が出切る。」
そう。こんな風にね、変換キーを押しすぎて、押し間違えて、伝わらなくなる。
だから誰かに何かが伝わらなかったらそれは、全て変換キーのせい。夏のせい。それでもだめなら君のせいにすればいい。そう思うよ。じゃあ。
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