ポスター、剥がす。

7年間貼ってあったポスターを、剥がした。
貼ってあった元の場所には真っさらな空間が広がっていて、その場所を遠目から見ると部屋ってこんなにも広かったんだと気づく。

それは部屋のドアに貼ってあった。好きだったバンドのポスターだ。もうそのバンドが嫌いかと問われれば、嫌いじゃない、むしろ好きな方、と答えるだろう。でも、剥がした。
上下の2箇所を100均のセロハンで留められていた萎びた紙は、7年前の自分が確かに好きで貼ったものだった。
なぜ急に剥がしたくなったのだろう。
直接のきっかけなんてない。
間接的には、最近やたらと細かいことが気になるようになったことがきっかけだろうか。机の上のプリントやクローゼットからはみ出す服にとにかく神経質になる。おかげで部屋はどんどん綺麗になっていく。ポスターはその神経質の餌食になったようだ。ゴミ箱には四つ折りになったポスターだったものが差し込まれていて、すでに、紙屑同然だった。

7年間確かに一緒に過ごしてきて、世界の誰も知らない一人きりのイノウエをそのポスターは見つめ続けてきた。その役目を今日、終えたのだ。
セロハンテープをピリッと剥がす時に募った一抹の寂しささえも、書き損じのESが溜まったゴミ箱に捨て去ってしまおう。

そしてイノウエは末永く幸せに暮らしましたさとさ。断捨離。断捨離。

そんなんだけど、イノウエは。

つれづれなるままに!ひぐらし!

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