夜、蒸発、シワ。
部屋には脱ぎ散らかされた衣類が散乱していて、敷かれた布団には無数のシワがあった。口が開いた飲みかけの酒は少しずつ部屋の空気に蒸発していく。
果てたように眠る人間が二人、並んで寝ている。ところで彼らによって踏み潰されたポテトチップスのかけらは今どこまで運ばれただろう。朝陽はとうに上っていた。
昨夜、どんな会話がなされたのだろう。巻き戻してそれを確認すると、なんと雑学の話をしている。
「公共のトイレのドアは押し戸だけど、家のトイレが引き戸である理由は?」男が問う。
もう一人が答える。
「公共のトイレは中の人が〜〜…」
どうやら不正解だったようで問うた男は少し嬉しそうに眦を下げて正解を囁く。もう一人は意外そうな顔をして頷く。納得がいったようだ。
そうして、その夜が更けていく。お楽しみはまだまだこれからだ。
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なんのことはない。合宿の男同士二人部屋の話。
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