吾輩はネコんでいる

吾輩はネコんでいる。高熱はまだない。

どこで風邪をもらったかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗い公園で仲間と共にギャーギャーと噴水の水を浴びていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて夏風邪というものを引いた。しかもあとで聞くとそれは風邪の中でも最も長引く邪悪な風邪であるそうだ。この夏風邪というのは時々我々を捕まえて煮て食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐ろしいとも思わなかった。ただ奴の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて夏風邪の顔を見たのが今年の風邪というものの見始めであろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。

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酔った友人が上野公園の水場に突っ込んでたので、きっと夏風邪に見舞われてるであろうという話。